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データの選別は正当だろうか、あるいは不正だろうか?

エンジニアのエルトンは、ある有名大学の大学院で研究を行っていた。彼の大学院での研究を終え、大学院の学位を取るために、エルトンは研究報告書を作成しなければならなかった。報告書を作成するなかで、彼は自分の研究テーマと関わる膨大な量のデータを集約した。
エルトンが集めたデータの大部分は、彼の報告書の結論を強く支持するものであるだけではなく、他の研究者の結論とも一致するものであった。しかしながら、データのわずかな部分が、エルトンの結論と整合的なデータと異なっていた。しかしエルトンは、自分の報告書が信頼できるものであると確信しており、また結論と矛盾するようなデータを含めてしまうことは自分の報告書の主要な部分の価値を下げるだけであると考えたので、そうしたデータは報告書には含めなかった。
エルトンは、結果的に結論と矛盾するようなデータを省略した研究を行ったことで、改竄の罪を負っているだろうか。このケースに関して倫理的に関連のある追加的情報があるとすれば、それはどのようなタイプの情報だろうか。

−NSPE事例85-5番の改作

(訳 須長一幸 日本学術振興会特別研究員PD(北海道大学))