コンサルタントとして大学に勤務するエンジニアリング学生
専門エンジニアのジャンは、小さな私立大学の定時制の大学院生で、機械エンジニアリングの教授をしているディマンローが教える研究クラスを履修していた。彼は、パントコンサルタントから無給休暇を取得して大学にやってきているのであった。ジャンが実行している研究の一部には、革新的な地熱の技術の応用が含まれていた。
大学は設備を拡張している最中であった。ディマンローは大学の施設委員会の委員を務めており、興味を持ったエンジニアリング会社を勧誘するために、見積依頼書(RFP,request
for proposal) を作成する立場にあった。ディマンローは、RFPに地熱の応用技術を組み入れることを計画していた。ディマンローはジャンに、RFPを作成し、提案を検査するに際して、大学の施設委員会の有給コンサルタントとして働くように求めた。パントコンサルタントはその件に関与するつもりはないし、ジャンがRFPや提案の検査のために働くことに反対はしていなかった。ジャンは、有給コンサルタントとして務めることに合意した。
ジャンにとって、大学の授業を履修し、同時に大学でコンサルタントとして働くことは利益の相反にあたるだろうか?もしそうであるなら、どの程度情報を開示すれば彼の義務は果たされたと言うことができるだろうか?RFPの準備にジャンが参加することは倫理的なことであろうか?提案を検査することはどうだろうか?
―NSPE倫理審査会事例91-5番からの改作
(訳 西村慶人 北海道大学文学研究科後期博士課程)
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