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かつての被雇用者からの競争

チャン・エンジニアリング会社とそこに勤務する数人の被雇用者との間で、ある方針に関する見解の相違があり、主要な四人がチャン社を去った。かつての被雇用者たちはあたらしいエンジニアリング会社を組織し、自分たちをそこの社長とした。新会社はその後、以前のチャン社のクライアントたちと契約をはじめた。幾つかのケースで、これらの以前のクライアントたちは、いまや新会社にいるエンジニアたちと取引を行った。新会社は、チャン社とプロジェクトについて議論を行ったことのある潜在的なクライアントたちとも接触を採った。
この点で、新会社はかつての雇用者にどんな義務を負っているだろうか。
新会社が自社のサービスについて広報を行っている間、チュン社もまた、四人のエンジニアが社を去りはしたもののクライアントのニーズに応えうる能力をいまだ維持していることを確信させるべくクライアントたちと接触を採っていた。しかし以前のクライアントたちはチャン社に、新会社はチャンが良質のサービスを提供できる能力に関して疑念を持っているということを伝えた。この点に関するクライアントとの議論の中で、チャンは新会社が適切なサービスを提供する能力に関して疑念を持っていることを伝えた。
四人のかつての被雇用者達に対し、チャン社はどんな義務を負っているだろうか。新会社がクライアントたちに対してチャン社の信用をおとすようなことを言った、という情報に対して、チャン社はどのような反応を示すべきだろうか。同じ情報に対し、新会社はどんな反応をとるべきだろうか。エンジニアや会社が、別のエンジニアや会社の能力に対して疑いを持つべきなのはどんな状況の下でのことだろうか。なにがクライアントにとって公正な競争をもたらすのだろうか。

−NSPE事例77-11番からの改作

(訳 須長一幸 日本学術振興会特別研究員PD(北海道大学))