利益を損なう情報の取得
州公害防止当局はブライト社に対して、製造過程で生じる廃棄物を水中に排出するための許可申請を60日以内に行うように通告した。
ブライト社は環境基準を満たしていることを当局に認めてもらうために、エンジニアのパサードを雇い入れた。彼はエンジニアリングコンサルティング業務に従事し、詳細なリポートを作成することとなった。調査を終えた後でパサードが出した結論によると、プラントからの排出は環境基準に違反しており、その修正はブライト社にとって大変コストのかかるものになる。パサードは口頭で会社に届け出た。その結果、その時点でブライト社とパサードの間の契約は終了することになり、それまで遂行されたサービスに対して満額が支払われることとなった。そのことによってパサードは、報告を文書化して会社に提出するべきではないということを悟った。
少しして、パサードは当局が公開ヒアリングを召集していることを知った。そこでブライト社は、現在のプラントの排出は最低限の基準を満たすという主張を支持するデータを提示するつもりであった。
パサードは今何をすべきだろうか?パサードは当局に対して、環境基準の違反を報告する義務があるのだろうか?パサードは、違反の報告を阻止しようとするであろうブライト社に対して、まだ果たしていない義務があるだろうか?
―NSPE事例76-4番からの改作
(訳 西村慶人 北海道大学文学研究科後期博士課程)
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