設計に関するエンジニアとクライアントとの論争
キャンベルは、あるプロジェクトの設計のために、エンジニアのD.J.を雇っていた。D.J.は設計案を作り、それについて議論するためにキャンベルに会った。二人はそのプロジェクトの最終的な成功の見込みに関して意見を一致させることができなかった。キャンベルは設計は単純化できるものであると考えていたのに対して、D.J.はそのような、単純化された解決法は、一般の人々に危険をもたらすことになると考えていた。キャンベルはD.J.に対して、図面を引き渡すよう要求した。というのもそうすればキャンベルは、図面をアントノプーロスに渡すことができるからである。キャンベルとアントノプーロスの間では、キャンベルが望むとおりにプロジェクトを完成させるという合意がなされていたのである。キャンベルは図面と、これまでなされた仕事の分に対しては、D.J.に対して賃金を支払うつもりであった。しかしD.J.は、図面をキャンベルに提供することを拒んだ。
D.J.はキャンベルに対して、図面を引き渡す義務があるのだろうか?D.J.には、キャンベルに図面を引き渡すこととは相容れない、その他の義務や責任があるだろうか?倫理的な観点から考えて、アントノプーロスはキャンベルの要求を満たすように計画を見直して改める仕事を引き受けるべきか?何か追加的な情報によって、あなたのこの状況に対する評価が変化する可能性はあるだろうか?そうであるとすれば、それはどのような情報か?それはどのような点で有用なのか?
―NSPE事例84-4番からの改作
(訳 西村慶人 北海道大学文学研究科後期博士課程)
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