実行可能性調査における利益の相反
エンジニアのリンゼイは、郡の政府で勤務していた。そこで彼女は、調査を実施し、郡の新たな電力設備のために最適な候補地を推薦する仕事をしていた。選択肢は二ヶ所の土地に絞られてきた。一つ目の土地は、いまだに整備されていないところで、そこにセカンドハウスを建てることを計画している人の所有地であった。二つ目の土地は、十分に整備されたところで、リンゼイが所有する土地であった。リンゼイは郡に対して、第二の土地が彼女の所有のものであることを告げ、以下の理由から第一の土地に建築するよう郡に推薦した。すなわち、(1)エンジニアリングの観点から、第一番目の土地の方がより良い候補地であること、(2)土地取得の費用が、第一の土地の方が安く済むことである。
リンゼイが土地の所有権を有していることを承知の上で、郡はリンゼイの推薦を受け入れるべきだろうか?リンゼイが調査の実施に同意したことは、倫理的な行動だと言うことができるだろうか?もしリンゼイが、新しい設備のためには彼女の土地の方が適していると決定したならば、すぐさま彼女はその調査から身を引くべきだろうか?リンゼイは、自らが土地を所有していることを開示することで、利益の相反を避けることができるだろうか?なんらかの事情が、あなたのこの筋書きに対する判断を変えるということはあるだろうか?
―NSPE事例88-1番からの改作
(訳 西村慶人 北海道大学文学研究科後期博士課程)
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