科学酒場
2006年10月13日(金)午後7時から千種区にあるバー「カルヴァドス」にて科学酒場を開催いたしました.
ゲストサイエンティストは名古屋大学大学院環境学研究科院生の於保俊さん.
テーマは「景観の変化から環境を考える」
今回は、大学院の博士課程の学生がゲストサイエンティストとして登場.カフェシアンティフィーク名古屋主催のイベントのゲストとしては今までの4回のうち最年少です.今回もギュウギュウ詰めになるほどたくさんの方々に参加していただきました.
過去の景観から自然環境のしくみを知る、という新しい手法で研究をされている於保さん.まずはじめに、過去の景観を再現するにあたってどのような手順で行っているかを説明されました.手順として、まず地図や絵図、文書や写真から当時の景観の情報を収集することから始めます.次に収集した情報を統合し、CGなどを用い可視化することによって、当時の景観を直感的にわかりやすくします.そして、同じ地域の年代別の景観を再現し比較することで、どのような土地利用をされてきたのか、などを分析します.
情報を集め、可視化する際には、地図記号をチェックすることでその土地の自然植生を明らかにし、また科学的知見として、地質や植物生態学を取り入れることによって、より正確に再現し、分析することができるそうです.スライドでは、明治時代頃からの名古屋の八事や東山地区の景観を再現したCG等を披露し、その時代時代における土地利用方法や、時代による利用方法の移り変わりを説明していただきました.「持続可能な社会を構築するために、自然との上手な付き合い方を知ることが必要であり、そのためにもこの研究によって人々の暮らしと自然の営みとの関わり合いを明らかにしたい」と於保さんは最後に語っていました.
スライドを用いてのお話の後のフリートークの時間には、お酒がまわった参加者のみなさんからさまざまな質問、意見がありました.若い研究者がゲストとあって、中には厳しい意見も少々.まるで学会の研究発表のようなオーラが漂うことも・・・.そのようなこともありながら、秋の涼しい夜の2時間が過ぎていきました.